2022年6月15日水曜日

東リ伊丹工場偽装請負事件の確定にあたって

  最高裁判所は、東リ伊丹工場において偽装請負状態で就労していた労働者らと同社との間の労働契約関係を認めた大阪高等裁判所判決に関して、本年6月7日付で東リ株式会社の上告を棄却しかつ上告審として受理しない旨を決定した。同日をもって大阪高等裁判所判決は確定した。


1 事案の概要

 東リ株式会社(以下「東リ」)は、その伊丹工場(兵庫県伊丹市)において、主力製品である巾木(床と壁の繋ぎ目に使用される建材)を製造する巾木工程と、接着剤を製造する化成品工程で、1990年代後半頃から原告ら労働者を偽装請負で就労させてきた。

 2015年夏に原告ら労働者は労働組合を結成し、2017年3月、組合員のうち執行部を中心に一部有志(原告ら)が先行して労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下「派遣法」)第40条の6(直接雇用の申込みみなし規定)に基づく承諾通知を東リに送付し、同社に対して直接雇用に関する団体交渉を申し入れた。

 2017年3月、東リは、当時同社に原告ら労働者を供給していた偽装請負会社に見切りをつけ新しく用意した派遣会社(株式会社シグマテック。以下「新派遣会社」)に原告ら労働者の雇用を引き継がせる手続き中であった。

 この移籍の過程で、新派遣会社が組合員だけを採用拒否するという事件が起きた。3月下旬、新派遣会社から各労働者に最終的な採用通知が送られる直前に、東リへ承諾通知を送った組合の中心メンバー5名を残して、16名いた組合員のうち11名が一斉に脱退した。そして、もともとの非組合員及び組合脱退者は全員が新派遣会社から採用通知を受ける一方、組合に残った5名は全員が不採用通知を受けた。かくして、偽装請負という不正義を糺すため行動をした原告ら5名は、その故をもって2017年3月末に東リ伊丹工場から放逐されたのである。


2 神戸地方裁判所(裁判官泉薫・横田昌紀・今城智徳)の不当判決

 原告らは、2017年11月21日、東リに対し派遣法第40条の6に基づく地位確認等を請求する訴訟を神戸地方裁判所(以下「神戸地裁」)に提起した。

 しかし神戸地裁第6民事部は、2020年3月13日、原告らの就労実態は偽装請負ではなかったなどとして請求棄却の不当判決を言い渡した。


3 大阪高等裁判所(裁判官清水響・川畑正文・佐々木愛彦)の判決

 大阪高等裁判所(以下「大阪高裁)第2民事部は、一審神戸地裁の誤りを正して一審判決を取消しすべての原告について東リとの労働契約関係を認めた。その判断は、


① 偽装請負に該当するか否かの判断にあたっては、労働者派遣が労務提供を目的とした契約でなく請負事業者して独立性専門性を備えているといえるかという点を厳格に判断し、厚労省が作成した「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(37号告示)を参照して判断し、東リが、日常的かつ継続的に、原告らに対し、伊丹工場の他工程の従業員らと同様に指示や労働時間の管理等をする偽装請負をおこなっていたと認定した。


② また、派遣先に派遣法等の規定(規制)の適用を免れる目的があったか否かの判断にあたっては、「日常的かつ継続的に偽装請負等の状態を続けていたことが認められる場合には、特段の事情がない限り、労働者派遣の役務の提供を受けている法人の代表者又は当該労働者派遣の役務に関する契約の契約締結権限を有する者は、偽装請負等の状態にあることを認識しながら、組織的に偽装請負等の目的で当該役務の提供を受けていたものと推認する」という基準を示し、主観的要件(派遣先の「派遣法等の規定~を免れる目的」)は客観的事情から認定されることを示した。

 大阪高裁の判断は、違法派遣、とりわけ労働者派遣の実態があるにも拘らず請負その他労働者派遣以外の名目で就労をさせて雇用責任を潜脱する事業者の責任を見逃さず、派遣法第40条の6の趣旨である労働者の雇用の安定を保障する積極的なものであった。


4 確定をうけて

 大阪高裁判決から7ヶ月で最高裁判所が上告棄却、上告審として不受理を決定し判決を確定させたことは、不安定な立場で5年にもわたる裁判を余儀なくされた労働者らの雇用の安定に資するものであり、この決定を歓迎する。

 東リは判決確定を真摯に受け止め、一刻も早く原告らを就労場所に戻し、正社員と同等の条件で就労させるべきである。

 また、最高裁が支持した大阪高裁判決の示した判断を踏まえ、偽装請負・違法派遣の認定・指導に極めて消極的な立場をとってきた行政(労働局等)はその姿勢を改めて労働者を救済する措置を講じることを強く求める。

                                         以上


                                  2022年6月14日


東リ偽装請負事件原告団・弁護団

東リの偽装請負を告発し直接雇用を求めるL.I.A労組を勝たせる会


共同声明(PDF)ダウンロード


2022年6月9日木曜日

=速報= 大阪高裁判決確定、大勝利!

  最高裁は6月7日付けで、東リの上告棄却と上告受理申立の不受理を決定し、大阪高裁の判決が確定しました。これにより当該5名、そして私達争議団の勝利が実現しました。

 2015年10月に「労働契約申込みみなし制度」が施行されてから、裁判による初の適用となる画期的判決の確定です。ようやく、脱法目的に偽装請負・違法派遣を受け入れている企業に対し、ペナルティーとして、雇用責任を取らせることができます。これもひとえに皆様のご支援の賜物です。ありがとうございます。

 これをきっかけに、同じように不当に扱われている労働者が、自ら闘う勇気を持って頂ければと思っています。

 確定した判決内容は、「5人が東リとの労働契約上の地位にあること」と「2017年4月から判決確定までの賃金の支払い」です。

 これから5名全員の職場復帰に向けての闘い(東リとの直接交渉)が始まります。完全勝利するまで、引き続きご支援をお願いします。

5月20日最高裁前




2022年4月12日火曜日

最高裁に対する東リ事件『上告受理申立の不受理 及び上告棄却を求める署名』取り組みのお願い

 

 世界情勢が緊迫する中、日頃の皆様のご奮闘には敬意を表します。

 202111月4日、大阪高裁は、労働者派遣法40条の6「労働契約申込みみなし制度」に基づき、東リ()の偽装請負を認定し、東リ()と元請負従業員5名との間で雇用契約を認めました。司法においては、同制度の適用は全国初であり、雇用の安定を望む非正規労働者にとって希望を見出せる画期的判決となりました。しかし、東リ()は判決を受け入れず、最高裁へ上告提起及び上告受理申立を行っています。

 東リ()の偽装請負を告発したことで、職場から追い出された元請負従業員の当該5名は、長い者で18年、短い者でも4年以上、東リ()の工場で正社員と変わりなく仕事をしていた熟練労働者です。現在は、仕事を奪われ、生活は困窮を極めながらも、低賃金のアルバイト、派遣労働で生計を立てながら、東リ()に対し、5年以上も職場復帰と直接雇用を求めて粘り強く闘い続けています。長期に及ぶ闘いの末、ようやく5名は大阪高裁で勝利することができました。故に一刻も早く争議を解決して、職場復帰ができることを望んでいます。それを実現するためには、この判決を何としてでも確定させなければなりません。

 判決以降、東リ()に対し、上告の取り下げを求める運動を展開してきましたが、それに加えて、最高裁に対しても、上告受理申立の不受理及び上告棄却を求める運動を開始することに致しました。つきましては、多用の折、お手数をおかけ致しますが、「上告受理申立の不受理及び上告棄却を求める署名」にご協力を賜りますよう、よろしくお願い致します。

 

 

 

【要請事項】

         別紙 個人署名、団体署名に取り組んで下さい。

 

         締切   第1次集約  4月30日

              第2次集約  5月31日

              第3次集約  6月25日

 

   集約場所  〒534−0024 大阪市都島区東野田町4−26−304 
          なかまユニオン気付

    東リの偽装請負を告発し直接雇用を求めるL.I.A労組を勝たせる会


署名用紙は下記からダウンロードをお願いします。

個人署名 

団体署名

2021年11月11日木曜日

東リ偽装請負事件控訴審 画期的勝利判決!

 L.I.A労働組合 執行委員長 藤澤 泰弘 


 11月4日、大阪高裁控訴審判決の言い渡しで、裁判長が主文を読み上げる前に、「傍聴者の皆さんは、終わるまで騒がないで、声を出さないで下さい」と前置きしました。それを聞いた瞬間、「また敗訴か?」と頭をよぎりましたが、一審判決を取り消し、完全逆転勝利という判決を勝ち取りました。

 司法が弱者を救済するという判決は、当然といえば当然ですが、正直に良かったと感慨深いものがあります。

 しかし、東リが最高裁に上告する可能性があるので、まだ素直に喜べません。東リが高裁判決を真摯に受け止め、最高裁への上告を断念し、私たちに謝罪し、判決に従う事を願うばかりです。

 控訴審で逆転勝利したことで、少しはメディアも取り上げてくれたので、違法状態で働かされている全国の非正規労働者に対しても、直接雇用の可能性をもたらす一筋の希望の光になれたのかなと思います。


判決のポイント

 東リの偽装請負を認定。

 原告(控訴人)5人が東リとの労働契約上の権利を有する。

 2017年労働契約成立時からの賃金支払いを東リに命じる。


※「労働契約申込みみなし制度」に基づく、全国初の勝訴判決です。










2021年9月8日水曜日

Change.orgでネット署名始めました ご賛同をお願いします。

  大阪高裁の控訴審は7月13日結審し、判決日が11月4日に決まりました。控訴審開始当初から、清水響裁判長は、東リの偽装請負の実態解明に積極的な姿勢を見せていました。心配だった一発結審を逃れ、控訴審は結審まで7回の期日を重ねました。3月9日には証人尋問も行われ、本来であれば採用されるはずの無い、一審の神戸地裁で採用された原告証人を、再び控訴審でも採用するという異例のことまで起こりました。これは裁判長が、一審判決に疑問を持っている証拠と言えます。

 しかし、いくら有利に審理を進めていても、実際に立場の弱い労働者が大企業相手に裁判で勝つことは非常に困難です。一審でも勝てると信じていましたが、結果的には不当判決で終わってしまいました。

 201510月施行の改正労働者派遣法の『労働契約申込みみなし制度』(違法派遣・偽装請負を受け入れていた企業は、その派遣労働者に対し労働契約を申し込んだとみなす。労働者が承諾の意思を示せば、労働契約が成立する。に基づくこの裁判は、全国初の試みであり、もしこれに勝利すれば、その他の違法派遣・偽装請負状態にある非正規労働者にも直接雇用のチャンスが生まれます。これまで、企業が違法派遣・偽装請負を受け入れても、裁判において雇用責任を取らせたケースはありません。それでは違法企業がはびこるのを止めることはできません。この流れを変えることができるのは、この裁判に勝利することであり、そのためには、社会的な力で裁判所に公正判決を求めて行く必要があります。『公正判決を求める署名』を判決直前まで続けて参りますので、ぜひとも、皆様のご協力をお願い致します!

クリック  https://chng.it/W7t2FMMh


ネット署名


2021年9月1日水曜日

控訴審、遂に結審! 判決は11月4日

  7月13日、東リ偽装請負事件の控訴審は、最後の準備書面の提出が終わり、7回目にしてようやく結審しました。5月20日に結審予定でしたが、労働契約成立後の契約期間について、既に契約が終了していて、存在しないとする東リ側の主張に対して、裁判所からL.I.A労組側に求釈明があり、そのために期日が2回追加されました。L.I.A労組側は無期雇用であると反論し、それに対し東リ側が再反論、更に双方が反論書面を応酬し合いました。清水響裁判長は双方の主張が出揃ったと判断し、審理の終了を告げました。

 そして最後の締め括りとして、L.I.A労組の藤井啓志書記長が意見陳述を行いました。私生活では父親の介護に明け暮れ、生活が厳しい中、闘いを継続していること、東リで働いていた時は、長年働いているにもかかわらず、正社員との広がる賃金格差に納得がいかなかったこと、それを改善するために東リに話し合いを求めたが、一方的に職場を追い出されたことなど、憤りや苦しさを切々と訴え、裁判所に公正な判決を出すよう求めました。意見陳述が終わった時、傍聴席から大きな拍手が湧き起こりました。

 藤井書記長の意見陳述が終わり、裁判長から判決日が示されました。さあ、いよいよ判決を待つだけとなりました。


判決言い渡し 11月4日(木)13時15分 大阪高裁 法廷未定


7月13日裁判報告会




3月9日証人尋問

  3月9日、大阪高裁で東リ偽装請負事件の第4回控訴審が開かれました。この日の裁判は、一審の地裁も含め、一連の裁判の中で、最も大きな山場となる証人尋問でした。証人はL.I.A労組副委員長の有田。証人は一度、一審でも採用されているので、高裁で重複して採用されるのは異例のことです。これは清水裁判長が、神戸地裁のデタラメな判決に、明らかに疑問を持っていると言えます。

 証人尋問は主尋問20分、反対尋問20分の計40分の短い時間でした。主尋問の目的は、控訴人らが働いていた東リ伊丹工場の請負工程を、実際は東リが自社の工程と同じように、伊丹工場の一部として取り込んでいることを明らかにすることでした。一方、反対尋問の東リ代理人からの質問は、主に請負会社の労務管理に関するもので、請負会社が独自に残業許可や人員配置をしており、独立した事業者であると主張するものでした。

と主張するものでした。

 証人尋問を終えて、弁護団長の村田浩治弁護士は、意図していたことを十分に裁判官に伝えることができたと満足していました。

 証人尋問の後、裁判長は、東リに対し、以前から釈明を求めていた受発注のプロセスに関して、真正面から答えていないとして、再度、釈明をするよう求めました。一つは請負から派遣に切り替わった時、「受発注のプロセスが廃止された」との東リの主張に対し、事実として変わったのか、それとも法的位置付けが変わったのか、さらに自社の工程と違いはあるのかということを、次回までに回答するよう求めました。

 それから裁判長は前回の控訴審で、東リが前工場長の長森氏の証人尋問を申請していたことについて、公平を期すために、長森氏の尋問を行うかどうか、東リに意向を聞きました。東リ代理人は撤回すると答え、これにより裁判は結審に進むことになりました。


東京総行動