2019年10月19日土曜日

腹立たしい厚労省の姿勢

 9月19日の中労委の不当労働行為救済申立の再審査期日に合わせて、午前10時から厚労省へ偽装請負の指導助言に関して直接申し入れを行った。こちらからはL.I.A労組3名、代理人弁護士3名、支援者3名が出席し、そして共産党の小池晃議員秘書大槻氏、倉林明子議員秘書丸山氏にも同席して頂いた。

  2年半前、L.I.A労組は兵庫労働局に東リの偽装請負を告発した。当初労働局の担当者はヤル気を見せ、積極的に偽装請負の証拠となる物の提出を求めてきた。
 ところが昨年7月、労働局は突如調査を打ち切った。「偽装請負については、本省の内部通達により、過去のものや裁判等で係争中のものは指導助言はできない」と回答して来たのだ。しかし村田弁護士が小池晃議員の事務所を通じて厚労省にヒヤリングを行なったところ、「過去のものや係争中のものについても、偽装請負の指導助言はできる」と労働局と異なる見解を示した。そこで昨年10月再度兵庫労働局を訪れた。担当者は「説明不足で誤解があった。実は調査は継続していた。しかし偽装請負とは判断できていない」と苦し紛れの言い訳に終始した。彼らの見解は「適切な請負とは言えないが、違法な派遣とまでは言えない」という理解に苦しむようなものだった。

 兵庫労働局が偽装請負の指導助言に積極的でないのを見て、厚労省と直接交渉を行い、膠着状態を脱しようと試みた。しかし厚労省職業安定局需給調整事業課の課長補佐、指導官達の応対はまさしく官僚答弁であった。こちらの質問に対して、「兵庫労働局は適正に判断していると聞いております」「個別の案件についてはお答えできません」「検討します」と、通り一遍の回答で御茶を濁そうとした。

 偽装請負の指導助言の判断は厚労省の告示「労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド」に基づいて行われており、2012年の改正労働者派遣法が成立した時に合わせて、改正された告示である。言わばこれは事業者が法の網の目を潜るための虎の巻である。これにより『労働契約申込みみなし制度』は骨抜きにされていると言っても過言ではない。

  厚労省に申し入れをした数日後、兵庫労働局は村田弁護士に、直接訪問して説明をしたいと連絡をして来た。そして10月18日午前10時に弁護士事務所にやって来た。こちらはL.I.A労組の3名と弁護士3名、労働局からは需給調整事業課課長と2名の指導官が出席した。労働局の課長は説明が曖昧であったことを詫び、結果だけ報告すると言い、「派遣法26条の1項に照らし合わせて、違法である事案は見つからなかった」と回答した。こちらからその判断に至った理由、過程について質問したが、労働局は「本省から結果だけを伝えるように言われている。お答えできません」と突っぱねた。「裁判でも労働委員会でも、理由を示しているではないか」との問いには、「我々は行政だから説明する必要はない」と言い切った。中身はブラックボックスのままで、納得せよとでも言いたいのか?結局、厚労省は『みなし制度』を使わせないように、このようなデタラメな判断をしているのだろう。彼らの不誠実な態度は厚労省本省の役人と全く変わらなかった。問題の本質に触れず、表面的な受け答えに終始した。
 企業の不正を指導することもなく、野放しにする行政。ここまで国は腐敗しているのかと思い知らされる出来事であった。

9月19日厚労省交渉