3月27日、東リ伊丹工場へ5人揃って職場復帰することが出来ました。2017年3月末に職場を追い出されてから、ちょうど6年になります。
その当時、5名は請負会社の従業員として東リ伊丹工場で働いていました。しかし、その働き方が偽装請負だったため、兵庫労働局へ偽装請負を申告し、そして請負会社で組織したL.I.A労働組合の組合員のうち4名が、労働者派遣法40条の6「労働契約申込みみなし制度」に基づき、先行して直接雇用申し込みみなしの承諾を東リに通知しました。
同制度によれば、違法派遣・偽装請負を受け入れている企業は、その労働者に対し、直接雇用の申込みをしたとみなされ、労働者がそれを承諾すれば、労働契約が成立することになります。
ところがちょうどその頃、東リの意向によって請負会社の全従業員が、別の派遣会社に移籍することになっていて、あろうことか突然16名いた組合員のうち11名が組合を脱退し、組合に残された執行委員長と承諾通知した4名の計5名が、派遣会社から不採用とされ、東リの職場を追い出されたのでした。
それから6年の苦闘の末、東リの正社員として職場復帰しましたが、その間、一審の神戸地裁で不当判決を出されるなど、厳しい闘いが続きました。当該の中には、生活困窮に陥ったものもいましたが、決して諦めることなく闘い続けました。
その結果、2021年11月7日大阪高裁で逆転勝利し、裁判所は、東リが偽装請負を行なっていたと判断した上で、司法において「労働契約申込みみなし制度」を初適用し、5名が東リの従業員としての地位があることを認めました。裁判において偽装請負から直接雇用が認められるという画期的判決になりました。
しかし、その後、東リは判決を受け入れずに最高裁へ上告しました。昨年6月4日、最高裁は東リの上告を棄却し、判決が確定し、5名は晴れて東リの従業員となりました。
東リの従業員となったものの、それで全てが片付いたわけではありませんでした。東リは5名の就労を拒否し、賃金の一部は支払っているものの、自宅待機を命じていました。
組合は何度も団体交渉を行なって、就労を求めましたが、人員充足を理由に5名の就労を拒否し続けました。挙句の果てに東リは金銭による契約解除を求めてきました。5名は金銭解決を断固拒否し、就労を求め続けました。その結果、ついに東リは5名の就労を認めざるを得なくなりました。
勿論その間、兵庫労働局が東リに対し、就労を促す助言を行い、更により強い指導を出すべく動いていましたし、また昨年の判決確定後、東リ伊丹ホールのネーミングライツの見直しを伊丹市に申し入れ、その件で伊丹市が東リに事情説明を求めていたとも聞いています。それらのことが大いに東リへのプレシャーになったことは事実でしょう。
しかしながら、当該5名が金銭に心を踊らされず、頑なに職場復帰を求め続けたことが、この勝利をもたらしたことは間違いありません。これは非正規労働者が闘いによって正社員を勝ち取った画期的勝利です。
支援者の皆様にも、これまでの闘いを強力に支えて下さったことに深く感謝いたします。これから職場でどんな問題が発生するかもしれませんが、5名がこれまでの闘いの中で培った強い精神力によって乗り越えることができると信じています。
これからも引き続き皆様からの励ましがあれば、幸いに思います。