2020年9月15日火曜日

東リ偽装請負事件 第一回控訴審報告

  9月2日、大阪高裁で第一回控訴審がありました。高裁の裁判長は、東リの主張を鵜呑みにした、一審の神戸地裁の判決に疑問を持ちました。伊丹工場巾木工程では、長年、請負従業員が業務を行ってきましたが、2017年3月、業務契約が請負から派遣に変えられました。裁判長は「2月27日付のメールを理由に、派遣契約になってから対応が変わったとしているが、メールの内容は3月1日からのシフトについてであって、請負が派遣になって、どのように指揮命令が変わったのかというのがわからない」、また「請負工程と東リ正社員の工程の派遣との指揮命令に、どのような違いがあるのか」と東リに質問しました。

 その他、請負代金の決め方についても、東リに詳細な説明を求めました。本来、請負業者は自ら必要な材料を仕入れ、材料代を支払い、注文主に完成品を納入して、その代金を受け取ります。請負代金は材料代、手間賃、利益などを含んだ上で決められなければなりません。しかし伊丹工場では、東リが材料を直接仕入れ、請負会社は材料代を支払わず、請負代金は完成品の数量に関わりなく、毎月一定額という、請負としてはあり得ないことが行われていました。(東リは請負代金を決める際に、材料代を斟酌していると主張している。)裁判長が、それらのことに疑問を持ったのは、当然のことだと言えます。

 裁判長は東リに対し、以上3点について、次回期日までに詳しく主張をまとめるよう求めました。

 他方、私たち控訴人に対しては、裁判長は労働者派遣法40条の6の付帯事項にある「善意無過失」「派遣法を免れる目的」について、法律制定過程の妥協の産物と触れた上で、そのことを踏まえながら、東リの偽装請負における違法性の認識、脱法目的についての立証を求めました。派遣法40条の6は、2012年旧民主党政権下で制定されましたが、この部分については当時野党であった自民党と公明党が、制度に盛り込むように要求したもので、いわば制度適用を困難にするための方策です。私たちは、この高いハードルを何としてでも、超えなければなりません。

 私たちは全国で初めて、この派遣法40条の6を使って裁判をしています。同じように違法下で働かされている労働者が、後に続いて直接雇用化できるように、まず私たちが勝利して、道を切り開きたいと思います。

 逆転勝訴のために、公正判決署名も合わせて、是非とも皆さまのご支援を頂きますよう、よろしくお願いします。


控訴審第2回期日 10月23日(金) 11時30分 大阪高裁 別館8階 82号法廷


9月2日第一回控訴審 裁判報告集会


JR伊丹駅前街頭宣伝